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“Ershcallet, ihr Lieder” BWV 172

《鳴り響け、汝らの歌声》 用途:聖霊降臨節第1日初演:1714年5月20日、ヴァイマル(再演:1717年以降? 1724年5月28日。1731年5月13日。1731年以降)福音書:ヨハネ14, 23-31(聖霊と降臨と別れへの預言)歌詞:S.フランク作(?)。第2曲;ヨハネ14, 23。第6曲;Ph. ニコライのコラール「輝く曙の明星のいと美しきかな」(1599)第4節(定旋律=BWV436)。編成:SATB, 合唱; Tp3, Timp, Ob, Vn1, Vn2, Va1, Va2, Fg, bc.基本資料:オリジナル・パート譜=SBB演奏時間:約17分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 172 目次(全7曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. 合唱(Coro)“Erschallet, ihr Lieder” 2. レチタティーヴォ(バス)“Wer mich liebet,” 3. アリア(バス)“Heiligste Dreieinigkeit,”…

“Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen” BWV 12

《泣き、嘆き、憂い、怯え》 用途:復活祭後第3日曜日初演:1714年4月22日、ヴァイマル(再演〔ト短調〕:1724年4月30日)福音書:ヨハネ16, 16-23(イエスの別れの言葉;汝らの憂いは喜びに変わる)歌詞:S.フランク作(?)。第3曲;使徒行伝14, 22。第7曲;S.ローディガストのコラール「神なしたもう御業こそいと善けれ」(1674)第6節(定旋律=BWV250)。編成:ATB, 合唱; Tp, Ob, Vn1, Vn2, Va1, Va2, Fg, bc.基本資料:自筆総譜=SBB, オリジナル・パート譜=SBB演奏時間:約24分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 12 目次(全7曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. シンフォニア“Sinfonia” 2. 合唱“Weinen, Klagen, Sorgen, Zagen” 3. レチタティーヴォ(アルト)“Wir müssen durch viel Trübsal,”…

中川郁太郎: 「音楽家バッハ」のアドヴェント

―― All Bach Cantatas Vol. 5 によせて ―― ミュールハウゼンにおいて「神の栄光のために、整えられた(教会暦にしたがって規則的に展開された)教会音楽」を志向し、同地の聖ブラージウス教会のオルガンの改修をすすめていたバッハだが、彼が同地で改修の結果を知ることはなかった。 この街をとりまく、キリスト教正統主義と敬虔主義との対立の空気を敏感に察知したバッハはすぐにあらたな任地をもとめ、1708年の夏、ヴィルヘルム・エルンスト公が統治するヴァイマールの宮廷にそれを見出した。 ヴァイマールにおいてもまず、宮廷礼拝堂のオルガニストとしてオルガンの拡充を成しとげたバッハは、今日までオルガニストの重要なレパートリーとなっている《前奏曲》《幻想曲》《トッカータとフーガ》そしてコラール編曲など、豊穣な作品群をここで生み出す。 このヴァイマール時代は、ミュールハウゼンで独自の道を歩み始めた教会カンタータの作曲についても、発展と成熟の時代となった。 1714年に宮廷礼拝堂の楽師長に任命されたバッハは、四週間に一度、自作のカンタータを宮廷礼拝堂で演奏する任務をおう。 その作曲にあたってバッハは年々少しずつ順番を変更しながら、教会暦にそって一年すべての日曜日に演奏できるカンタータ群、つまり年鑑の作成を企図した。 この構想はライプツィヒ時代初期にかけて実現されていくこととなる。 All Bach Cantatas Vol. 5 ではバッハの「整えられた教会音楽」への意志に沿う形で、ヴァイマール時代のカンタータの中から直近(11月末~12月)の教会暦のための作品がとりあげられる。 カンタータ第61番《さあ来てください、異邦人の救い主よ Nun komm, der Heiden Heiland》(BWV61) は、1714年の待降節第一日曜日のために作曲された。 教会暦における待降節(アドヴェント)の語源はラテン語adventusで、これは神殿への神の到来を示すとともに、支配者があたらしい任地へとおもむく際にも使用された語彙である。 この言葉によって示される待降節は、直近の教会暦であるキリストの降誕(クリスマス)と共に、キリストの再臨をも待望する期間であり、教会の一年のはじまりの時である。 この待降節最初の日曜日に福音主義教会で朗読される聖書箇所は、マタイによる福音書第21章の1節~9節、これはイエスのエルサレム入城の記事で、降誕節との関りはない。 待降節の意義は、世界への神の子の到来を「神の人類に対する愛の啓示」ととらえることにあり、待降節第一日曜日には、エルサレム入城時のイエスの姿(あなたの王が卑しい姿で来られる)からそのことが確認されるのである。 カンタータ第61番《さあ来てください、異邦人の救い主よ》は、ドイツ福音主義教会において「待降節の象徴」とされてきた同名のルターのコラールを用いたコラールカンタータである。 コラール以外のテクストには、教会の音楽に「カンタータ」という呼称を持ち込んだハンブルクの牧師エールトマン・ノイマイスターの台本が用いられ、同時代のオペラを起源とするレチタティーヴォ-アリアの形式が導入されている。 だが若き楽師長バッハの意欲は以上のような形式的な特徴にとどまらず、第1曲の音楽そのものに目に見える形であらわれている。 ここでは「フランス風序曲」にコラールを組み込むという、独創的な音楽構築がなされるのである(譜例1)。 譜例1 カンタータ第61番 第1曲冒頭 「フランス風序曲」は、言うまでもなく17世紀のフランスでオペラやバレエの開幕前に演奏された音楽が、やがて楽曲形式として独立したものである。 17世紀のフランスにおいてはこの序曲が鳴り響く中、王が入場して桟敷席につくならわしだった。 バッハはカンタータ第61番の冒頭にフランス風序曲を用いることによって「教会暦の開幕」を知らせるとともに、王キリストの任地への到来、つまりこの日の聖書箇所であるエルサレム入城の様子を、鮮やかに音楽で描いたのである。…

“Christen, ätzet diesen Tag” BWV 63

《キリスト者よ、この日を刻み込め》 用途:降誕節第一日初演:1714年12月25日、ヴァイマル(再演:1723年12月25日、1729年およびそれ以降)福音書:ルカ2, 1-14(キリストの降誕、羊飼いへのお告げ、天使のほめ歌)歌詞:ヨーハン・ミヒャエル・ハイネクツィス作?編成:SATB, 合唱; Tp4, Timp, Ob3, Vn1, Vn2, Va, Fg, bc.基本資料:オリジナル・パート譜=SBB演奏時間:約30分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 63 目次(全7曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. 合唱“Christen, ätzet diesen Tag” 2. レチタティーヴォ(アルト)“O selger Tag!” 3. アリア(ソプラノ・バス)“Gott, du hast es wohl…

“Bereitet die Wege, bereitet die Bahn” BWV 132

《道を備え、大路を備えなさい》 用途:待降節第4日曜日初演:1715年12月22日、ヴァイマル福音書:ヨハネ1, 19-28(洗者ヨハネの証言)歌詞:フランク1715。第6曲(音楽は伝承されず); E.クロイツィガーのコラール「主キリスト、神の独り子」(1524)第5節(定旋律=BWV 96/6)編成:SATB, 合唱; Ob. Vn1, Vn2, Va. Fg, bc.基本資料:自筆総譜=SBB、オリジナル・パート譜=SBB演奏時間:約21分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 132 目次(全7曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. アリア(ソプラノ)“Bereitet die Wege, bereitet die Bahn” 2. レチタティーヴォ(テノール)“Willst du dich Gottes Kind” 3. アリア(バス)“Wer…

“Nun komm, der Heiden Heiland” BWV 61

《さあ来てください、異邦人の救い主よ》 用途:待降節第1日曜日初演:1714年12月2日, ヴァイマル(再演:おそらく1723年11月28日)福音書:マタイ21, 1-9(イエスのエルサレム入城)歌詞:ノイマイスター1714。第1曲;M.ルターのコラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」(1524)第1節(定旋律 = BWV 36)。第4曲;黙示録3, 20。第6曲;Ph. ニコライのコラール「輝く曙の明星のいと美わしきかな」(1599)最終節後半(定旋律 = BWV 436)。編成:STB, 合唱; Vn1, Vn2, Va.1, Va.2, Vc, Fg, bc基本資料:一部自筆の総譜 = SBB演奏時間:約19分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 61 目次(全6曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. 序曲(合唱)“Ouverture” 2. レチタティーヴォ(テノール)“Der Heiland…

中川郁太郎: 深き淵より

― 若きバッハの苦悩と輝きと―  1707年の6月、アルンシュタットからミュールハウゼンへとやってきた若きバッハは、同地のオルガンの拡充に着手すると共に、「より整えられた環境」の中で教会音楽全般の整備に乗り出した。 翌年の6月まで、わずか一年に過ぎなかった彼のミュールハウゼン時代は、この教会音楽への積極的な取り組みによって、音楽的な豊穣の時代となった。本日演奏される4つのカンタータも、この時期に誕生したものである。  ミュールハウゼン時代のバッハのカンタータは、まだ多くの点で17世紀以来の伝統にしたがっていた。同時代のハンブルクの牧師、エールトマンによって導入されたオペラ起源のレチタティーヴォ―アリアの形式はまだみられず、テクストそのものも、詩編を中心とし、伝統的に音楽化されてきた聖書箇所にほぼ限られていた。 カンタータ第131番《深き淵より、われ汝に呼ばわる、主よAus der Tiefen rufe ich, Herr, zudir》(BWV131)では、詩編第130編とリングヴァルトの讃美歌《主イエスキリスト、汝こよなき宝Herr Jesu Christ, du höchstes Gut》のテクストとが組み合わされている。 詩編130編は「7つの悔悛詩編」のうちの一つとされ、ウルガータ(ラテン語)訳聖書の「de profundis」という訳語とともに親しまれた。 「深き淵 profundis」とは、「生ける者らの地」(詩編第27編13節)からもっとも遠く低く、死と隣り合わせの場所とされている。 この立ち位置から始まる詩編第130編は「瀕死の苦難にあって神を呼び、ひたすら神の赦しにすがり、救いを待ち望む個人ないし民族の、嘆きと信頼の歌」(松田伊作)とされている。 古来多くの作曲家が、この「深き淵」に思いをめぐらせ、テクストからインスピレーションを得た音楽を書いた。  当時のミュールハウゼンでは三位一体節後に「悔い改めの礼拝」がおこなわれる習慣があったが、直接的にはバッハ着任の直前におこった大火災への「悔い改めの音楽」が必要とされたことが、カンタータ第131番作曲の契機ともされている。  バッハは「深き淵profundis」をどのように音楽化したのであろうか。 第130番、第1曲の短い前奏に続いて合唱各声部に歌われる「深き淵よりAus der Tiefen」のテーマは、下降音型によって「深き淵」の明確なイメージを音として表現している(譜例1)。 (譜例1) だが同時に「そこに追いやられたのは自分の罪の結果なのだ」という、同じ詩編第3節にあらわれる認識をバッハもまた共有しており、このテーマは「深き淵」の単なる描写にとどまらず、そこに居る人間の「へりくだり」をはっきりと示すものとなっている。 合唱が「主よ、私の声を聞いてください」とうたう部分になると音楽はヴィヴァーチェになり(譜例2)、切迫したテンポの中でフーガがあらわれる。 (譜例2) これは、「深き淵」をうたった部分全体を前奏曲としてその後にフーガを導入する、鍵盤作品における「プレリュードとフーガ」の様式にならったものである。 このような「深き淵」における苦難と絶望、そこにおかれた人間の切迫した呼びかけからなる音楽は、バッハ最初期のカンタータ第150番《主よ、われ汝をあおぎ望むNach dir, Herr, verlanget mich》(BWV150)にもみられる。 素朴な悲しみをたたえたシンフォニアに続いてうたわれる第2曲の合唱では「あなたのことを、主よ、私は求めています」という最初の歌詞が、オクターブ上行から明確なラメントバス(嘆きのバス)へと続く悲劇的な旋律線(譜例3)でうたわれる。 (譜例3)…

“Gott ist mein König” BWV 71

《神はわが王なり》 用途:市参事会員交代式初演:1708年2月4日、ミュールハウゼン歌詞:作者不詳。第1曲; 詩篇74, 12。第2曲; サムエル後19, 35および37/J.ヘーレマンのコラール「おお神よ、汝義なる神よ」(1630)第6節(定旋律=BWV399)。第3曲; 申命記33, 25/創世記21, 22。第4曲; 詩篇74, 16-17。第6曲; 詩篇74, 19。編成:SATB, 合唱; Trp3, timp, rec2, ob2, fg, Vn1, Vn2, Va, bc, org基本資料:自筆総譜=SBB(facs.: FR9)オリジナル・パート譜=SBB. オリジナル出版譜=SBB. その他。演奏時間:約18分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 71 全体の解説 カンタータ《Gott ist…

“Der Herr denket an uns” BWV 196

《主はわれらを御心に留めたまえり》 用途 : おそらく結婚式のために作曲されたと推測されます(初演日とミュールハウゼンでの活動時期から)。初演 : 1708年6月5日? ミュールハウゼン歌詞出典 : 詩篇第115篇12–15節より(ルター訳聖書による)。編成 : ソプラノ、テノール、バス(ソロ)、四声合唱(SATB),ヴァイオリン I, II、ヴィオラ、ファゴット、通奏低音(オルガン等)基本資料 : 総譜:J.L.ディーテルによる筆写譜(1731/32年)=SBB(ベルリン国立図書館所蔵)演奏時間:約13分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 全体の解説 カンタータ《Der Herr denket an uns(主はわれらを思い起こされる)》BWV 196 の正確な作曲時期を断定することはできません。ヴィルヘルム・ルストは、このカンタータが婚礼用に作曲されたものであると明確に位置づけましたが、その根拠は「テキストを一見すれば明らか」であるというものでした。 テキストは詩篇115篇からの抜粋で、節12~15が各楽章に1節ずつ配されています。フィリップ・シュピッタは、詩篇の内容から、バッハとマリア・バルバラの結婚に関わった牧師(ヨハン・ローレンツ・シュタウバー)が、婚礼を祝ってこのカンタータを演奏した可能性を示唆しました。シュタウバーは1707年10月17日、ミュールハウゼンのドルンハイム村でバッハとマリア・バルバラの婚礼を執り行い、翌1708年6月5日には、バッハの妻の叔母であるレギーナ・ヴェーデマンの結婚式も同じ教会で執り行いました。このため、シュピッタは同年6月5日が初演日であると判断しました。 このカンタータの詩は自由詩を含まず、音楽様式はブクステフーデを思わせるため、1707/08年に作曲されたと推測されます。また、レチタティーヴォがなく、器楽による前奏と短い楽章で構成されている点からも、バッハ初期の作品とされています。ヴォルフは1708年から1714年(ヴァイマール時代)を作曲時期と絞り込んでおり、近年の研究では、イタリア音楽の影響からバッハ初期(ヴァイマール)に作曲された可能性があると指摘されています。 ただし、原稿(自筆譜やパート譜)は現存しておらず、初期資料に基づいた日付の確証はありません。本版は、ライプツィヒの写譜師ヨハン・ルートヴィヒ・ディーテルによる写譜(1731/32年頃)に基づいています。彼はバッハの主な写譜師の1人であり、原譜に直接アクセスできたと考えられます。今日、この写譜はベルリン国立図書館に所蔵されています。また、19世紀に作られた他の写譜も存在し、ディーテル本とは明らかに異なる読みが見られます。 目次(全5曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. シンフォニア“Sinfonia” 2. 合唱“Der Herr denket an…

“Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir” BWV 131

《深き淵から主よ、われ汝を呼ばわる》 用途:悔い改めの礼拝?初演:1707«マン編? 詩篇第130篇(ルター訳)。第2,4曲; B. リングヴァルトのコラール「主イエス・キリスト、汝こよなき宝」(1588)第2・5節(定旋律=BWV334)。編成:SATB, 合唱; Ob, Fg, Vn, Va1, Va2, bc基本資料:自筆総譜=ニューヨーク、個人蔵(facs:CA)。演奏時間:約25分 【出典】磯山雅・小林義武・鳴海史生 編著『バッハ事典(DAS BACH LEXIKON)』東京書籍、1996年。 🎼 楽譜のリンク IMSLP : BWV 131 目次(全5曲) ※ 曲名をタップすると、各曲の解説にジャンプすることができます。 1. 合唱“Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir” 2. アリア(バス)+コラール(ソプラノ)“So du willst, Herr, Sünde…